「英語は7つの動詞でこんなに話せる」
Introduction
7つの基本動詞を覚えれば
470超の英語表現が身につく!
私の英語ツイッターのフォロワーさんには、勉強のために、ツイッターを通じて英語で発信している人たちがたくさんいます。ずっと気になっていたのは、非常に簡単な英語で言えるのに難しい言い回しを使いたがる人が多いことでした。
たとえば、“I’ve completed 60 summer greeting cards 4 the time being. I’m gonna bring them 2 a nearby branch of Jpn Post Srv tmrw.”というツイート。これは、“I did 60 summer greeting cards. I’m gonna take them to the post office tomorrow.”(暑中見舞いを60枚書いた。明日、郵便局に持って行く)で済みます。
“I have to attend the dentist once a week.”というツイートも目にとまりました。「attend =通う」と丸暗記しているから出てきた文でしょう。そもそも英語でattend a dentistとは言いませんし、go toを使って“I have to go to the dentist once a week.”と言えば、間違えることはありません。
また、「attend=参加する」と覚えていて、「パーティーには行けない」と断るとき、次のように言う人も多いです。
I can’t attend the party.
「来賓」として招待されたフォーマルなパーティーであればいいでしょう。でも、友人宅で開かれるようなカジュアルな場に呼ばれて、こうした硬い表現を使えば、確実に浮いてしまいます。本書でも紹介していますが、ネイティブスピーカーは次のようなフレーズを使います。
I can’t make it.
I can’t go/come.
I won’t be there.
attendなど使わなくても、goやbeで表現できてしまうのです。
語彙を増やすより基本動詞のマスターが大切
私のツイッターのフォロワーさんには、大半の大人よりまともな英語が書ける中学生もいます。私自身、中学時代から週刊英字新聞を読み、海外文通をしていましたが、中学の文法や語彙をきちんとマスターしていれば、日常会話は十分にこなせます。
実際、ネイティブたちが日常話している英語は、中学で習うような非常に簡単な単語を使ったものです。先の例のように、日本の英語学習者のほうが難しい単語を使いがちです。日本語と英語の単語を1対1で置き換え、丸暗記しているのが原因の一つでしょう。しかし、それ以外にも、「こんな簡単な単語を使ったら頭が悪いと思われる」「難しい単語を使うと知的に聞こえる、カッコいい」という誤解もあるようです。
何語で会話するにしろ、コミュニケーションの目的は意思の疎通であり、自分の言いたいことを相手に理解してもらうことです。難しい内容でも、簡単な表現を使って説明できる力こそが評価されるのです。自分が周りにどう思われているかを気にするばかりに、日常会話で場違いな表現を使えば、反対に、自然な英語をマスターしていないことを露呈するだけです。
ネイティブが日ごろ、日本の中学校で学ぶような単語や構文を使っているというのが信じられないという方は、一度、アメリカのTVドラマを英語で見てみてください。それこそ「え、こんな簡単な単語でいいの?」と思うはずです。(学校で習わない俗語もたくさん出てきますが。)
受験勉強のクセで「英語の勉強=単語の暗記」と思っている人もいるようですが、多くの単語を暗記するよりも、まずは基本的な単語をマスターして、それを駆使することに力を入れたほうが、はるかに英語での表現力が身につきます。
単語ではなくフレーズで覚えよう
先述のように、日本人は「単語の暗記」の習性で、たとえば「go=行く」のように、一つの英単語に対し一つの日本語を対応させてしまいがちです。
しかし、そうすると、アメリカ人が日常の挨拶に使うHow’s it going?(調子どう?)やgo off(アラームなどが鳴る)などのような、日本語の「行く」に対応しないgoを使ったフレーズはなかなか覚えられません。
そこで、本書では、英語(アメリカ英語の話し言葉)で最も頻繁に使われる動詞に絞って、取り上げることにしました。多くはありません。次の7つの動詞だけです。
be get do have make take go
どれも、中学校で習った基本中の基本の動詞ばかりです。これら7動詞について解説し、7 動詞を使ったさまざまなフレーズを紹介していきます。
学習のコツは、単語とその意味を一つひとつ暗記するのではなく、一緒に使われる前置詞や副詞、名詞とともにフレーズでまとめて覚えること。7つの基本動詞をマスターすることで、ネイティブが日常使う470以上の自然な英語表現を一気に身につけましょう。
2017年9月
有元美津世